スピリチュアルカウンセリング体験記 (2) 
催眠療法体験記
駅を降り、指定された場所まで行って電話をすると、先生が迎えに来てくださるという仕組みだった。
電話のお声では判断がつかなかったので、O田氏に確認すると、先生は男性だとのことだった。
カウンセリングルームは先生の住居の一室にあった。

暑い中を歩いてきた私たちに対して、山口先生は、やはり半分女性のような物腰で、氷水を出してくださった。
「どちらからなさいます? それか、ご一緒にいらっしゃったのですから、ご一緒でいかがですか」
と、同席を勧められ、それはエキサイティングかもしれないと思ったが、O田氏がいったいどういう次元のことを相談するつもりなのか、私には分からなかったので、別々に、させていただくことにした。
先に先生の真正面に座ったのは、私のほうだった。

スピリチュアルカウンセリングについてのガイダンス資料が用意されていて、私がそれに眼を通す間に、先生は、私の名前をご覧になったり、ノートに少し何か記入なさった。
そして、おっしゃった。
「えー。すでに入り始めているんですけど。入っちゃうと、アタシはすごーく暑くなっちゃって、汗がたくさん出るので、びっくりなさる方がおられるんですけど、そういう体質なので、ご心配なさらないでくださいね。それから、始まっちゃうと、森川さんじゃないほうを見たりして、ほとんど、ご本人のほうを見なかったりするんですけど、それは森川さんを嫌いなわけじゃないですから、お気になさらないでくださいね。」
先生は、手でぱたぱたと、ご自分の顔を仰いでおられる。
「暑かったら御免なさいね。冷房は強くしてるんですけどね。」

確かに、先生の身体全体から熱が伝わってくる。
それは、今走ってきました、という人が発する暑さとはまた別の種類の何かだ。
先生からの暖かさと、冷房の風は、この部屋の中でえもいわれぬ対流を引き起こし、二つの正反対の温度がマーブル状の渦となり、交互に弧を描いて私の体表をなぞっている。

山「何をお聞きになりたいですか?」

はて、どうしたものか。
私がここに来た主な理由は、ただただ、こういう方とお会いしてみたいということだ。
他の人の話を毎日、長い時間聞いてはいても、自分のために自分の話をするまとまった機会など、もうずっと持っていない。
これから一時間も、何を主体的に話せばいいのだろう。
O田氏のように質問事項を考えてメモしてくればよかった、と多少後悔しながら、さっき見たガイダンス資料の中で引っかかっている言葉を、とりあえず口にしてみることにした。




スピリチュアルカウンセリング体験記 (3)に続く
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